確かに片側に痛みが起こることが多いのですが、時期によって、右側が痛い時、左側が痛む時、両側が痛い時など、痛む場所が変わる場合が多いのです。片頭痛は頭の片側だけに起こる頭痛の症状を指しているのではなく、医学用語(病名)です。
「ズキン、ズキン」と脈打つような痛みがあり、頭を動かすと痛い、光や音、臭いに過敏になる、ひどいときは吐き気や嘔吐をともなうことがあれば、片頭痛の可能性があります。女性に多く、市販の薬(鎮痛剤)を飲むと一時的に楽にはなりますが、徐々に効果が薄れてきます。
片頭痛は頭部の血管(動脈)が急に拡がった時に血管の壁の神経を刺激して炎症が起こるために痛みが起こります。片頭痛が起きている時に吐き気や眩しく感じるのはこうした神経の刺激や炎症が原因と考えられています。
片頭痛と診断されれば、大きく分けて2つの治療法があります。ひとつは頭痛発作時に内服するトリプタンという薬と、もうひとつは、頭痛発作を予防する薬です。一番大切なのは、あなた自身に合った治療法を医師と相談して決めていくことです。
緊張型頭痛は慢性頭痛の中で最も多い頭痛です。原因は頭部の筋肉(頭蓋骨の周囲)や肩、首の筋肉が緊張するために起こります。精神的、身体的なストレスの関与や「なで肩」の女性、長時間のデスクワーク、パソコン操作などが原因となって、頭部の筋肉の血流が悪くなり「頭全体が締め付けられるように痛む」「毎日頭が重い」「肩や首も痛む」などの症状が起こります。動けないほど痛くないのが特徴です。
緊張型頭痛の原因のひとつは、首や肩、頭の筋肉の血流悪化です。そのため、筋肉の血行をよくするために「長時間のうつむき姿勢をとり続けない」「肩こりの解消」などが日常生活上で重要です。ストレッチ体操、首や肩を冷やさないようにする工夫などが大切です。
筋肉の緊張を和らげる薬(筋弛緩薬)や痛みが強い時には、鎮痛剤を使います。ストレスが関与している場合には、ストレスを和らげ、緊張を緩めるための薬(安定剤、抗不安剤)を用います。市販の鎮痛剤を安易に続けていると、逆に慢性頭痛の原因(薬物乱用頭痛)にもなりますので注意が必要です。
禁煙外来では12週間(計5回)にわたり禁煙の治療を行います。この治療は健康保険が使えます(5回分の自己負担額は合計で13000円~20000円程度です)。禁煙に対する具体的な方法、アドバイス、禁煙を楽にしてくれる禁煙補助薬(ニコチンパッチ、飲み薬)の処方などを行います。禁煙したいけれど自信がない、これまで自分で禁煙したけれどうまくいかなかった人にはお勧めします。
禁煙は経験すればするほど、上達するものです。禁煙に成功した人の多くは何回もチャレンジして成功しています。ニコチンパッチあるいは経口禁煙補助薬を使うことにより、イライラしたり、落ち着かない気分になったりすることを減らしていくことが可能です。
禁煙すると食欲が増したり、胃腸の調子が良くなったり、味覚が改善され、つい食べ過ぎてしまいます。また、ニコチンの離脱症状としても食欲が増えます。経口禁煙補助薬(内服薬)、ニコチンパッチを使用することにより、ある程度、予防できます。もちろん、食事内容と適度な運動も大切です。
禁煙する前は誰でも不安になるものです。しかし、やってみなければわかりません。まずは、第一歩を踏み出してみることです。禁煙は意思の力だけでなく、ニコチン依存症(中毒)になっているためにやめにくいのです。そのための治療ですから、禁煙しようという強い気持ちさえあれば大丈夫です。
誰しも年齢と共に新しいことを覚えることが困難になってきます。生理的なもの忘れは、もの事の一部を忘れる程度で進行もゆるやかです。認知症のもの忘れでは、体験したこと自体を忘れてしまい、進行も早いのが特徴です。家族や周りのひとが「もしや認知症?」と心配な場合は、早めにかかりつけ医(もの忘れ相談医)に相談しましょう。
わが国の認知症高齢者は年々増加しており、その大半の方は「年のせい」と考えて医療機関へ受診されなかったり、相談する場所がわからずそのままになることが多いのが現状です。名古屋市医師会では「もの忘れ相談医」を養成し、市民の方々が安心してご相談になれる体制を作りました。是非ご相談下さい。
認知症の早期発見のための体制作りが進んでいます。名古屋市では令和2年1月より、65歳以上の名古屋市民の方の「もの忘れ検診」が実施されます。市内の協力医療機関において検診を受けることができます。自己負担はありません。予約が必要な医療機関もありますので、お問い合わせ下さい。
肺年齢とは一秒間に吐ける息の量(一秒量)から、標準の方に比べて自分の呼吸機能がどの程度かを確認していただくための目安です。一秒量の標準値は、性、年齢、身長によって異なり、20歳代をピークに加齢ととに減少します。肺年齢を知ることにより、肺の生活習慣病であるCOPDかどうかや、ご自分の将来の肺の健康リスクを知ることができます。
頭痛のために鎮痛剤を予防的に内服したりして、週に2日以上、月15日以上、3ヶ月間以上のみ続けていると、「薬物乱用頭痛」を引き起こすことがあります。その特徴は、鎮痛剤をのんでいても、以前より強い頭痛が絶え間なく続くことです。治療法は原因薬剤の中止(断薬)です。鎮痛剤の服用回数が多い方はこのような状態に陥る前に医師に相談することが大切です。
群発頭痛は20~40歳代の男性に多く(女性の3~4倍)、ある時期に集中して激しい頭痛が起こることが特徴です。片方の目の奥がえぐられる様な激しい頭痛が、1~2ヶ月間、毎日決まった時間帯に起こる場合が多く、目が充血したり、涙や鼻汁が出ることもあります。アルコール摂取で発作が誘発されることがあり、頭痛の時期は禁酒をしてください。治療法は頭痛の程度が強く、日常生活に支障になる場合には、スマトリプタンの自己注射が使用可能です。専門医療機関で使用方法の指導が必要ですが、どなたでも簡単に習得できます。
むずむず脚症候群は、脚に不快な感覚が現れる病気です。日本人の約3%にあり、やや女性に多く、年齢ととに発症する人の割合が多くなると報告されています。夕方や夜に、じっとしているときに、脚がむずむずして動かさずにはいられなくなる病気です。「むずむずする」「虫が這っている」「ほてる」「ピリピリする」「かゆい」などの不快感が脚の内側(深部)に起こります。夜間に起こりやすく、不眠の原因になります。
むずむず脚症候群の原因は、脳内の神経伝達物質のひとつ「ドパミン」の機能低下や鉄欠乏が関係していることがわかってきました。ドパミンは様々な運動機能を潤滑にする働きをする物質で、その合成には鉄が不可欠なのです。
むずむず脚症候群の治療には、薬物療法と非薬物療法がります。薬物療法の場合、ドパミン作動薬が使用されます。現在、日本でも使用可能な薬剤があります。また、非薬物療法としては、カフェイン、アルコール、ニコチンなどの摂取を控えることや、鉄分の補給、生活習慣(睡眠、行動)の改善などがあります。睡眠剤はかえって症状を悪化させることもあり、注意が必要です。診断のために、一度は「脳神経内科医」「睡眠専門医」を受診されることをお勧めいたします。